商品にお金を払う時の関係、特に詐欺をする側が、どの様な関係に持ち込もうとしているのか、その為に、彼らは、どの様な手を使ってくるのか。
さすがに6回も騙されて、振り返って、よく考えてみると、根っ子にあるパターンというか、心理的なロジックが分かって来たので、書いてみたいと思います。
目次
商品を買う時の3者の関係
まず、商品を買う時の構図を抑えたいと思います。登場するのは、「自分」「相手(売り手/詐欺者)」「商品」の3要素です。
絵にしてみると、こういう関係になります。

自分から見えているのは、相手と商品自体。
相手からすると、商品が売れれば利益になるという関係を持って、自分と関わってきます。
自分から見ると、商品と相手の2つを評価しているという構図になります。ここで、もし商品が自分の専門分野で、ものすごく知識があって、その善し悪しを妥当に評価できる場合、相手との人間関係がどうであろうと、ウンともスンとも言わせず、間違い無く、詐欺に遭うということは、起こりえないでしょう。
その為、「商品の善し悪しを判断出来る知識」は、詐欺に対して強烈な防衛線となります。
では一方、商品のことがよく分からない場合はどうでしょう。商品評価は、印象だけで何となく判断してしまうと同時に、相手との関係に左右されやすくなります。
つまり、詐欺側からすると、商品の善し悪しを判断出来るプロは騙しようが無く、最初から対象外。
ターゲットは、商品自体に興味を持ってくれるが、よくは知らない人、となります。
そうした人は、
・商品の印象を良くする(デザイン、本物ぽさ、投資なら有望さ、上昇の強さ)
・相手との人間関係を、(1)他人行儀で無く、(2)入り込んだ関係にする
この2点を抑えれば、コロッと行かせることが出来る訳です。
他人行儀では無く、入り込んだ関係にするテクニック
こちらも、さすがに続けて6回も騙された結果を振り返ると、大分分かって来ました。入り込んだ関係にする作戦は3ルートです。
(1) 価値観の共感
(2) 主従関係
(3) 恋愛感情
この何処を攻めてくるかは、ケースバイケースになりますが、それぞれ、どういう作戦か、私の経験した事例を踏まえながら、紹介したいと思います。
(1)価値観の共有作戦
これは簡単に言うと、友達になるってことです。なので、騙されている本人からすると、「友人が一人できた」としか見えない訳です。
普通に雑談して、話題に挙がったもので盛り上がる。料理の写真を挙げてきたら、「それ美味しいよね」みたいな。
「うちの地元には、こんな名物があるから、来てくれた時には、ごちそうするよ」みたいな、もう普通の友達と差が無い所がポイントです。
でも、詐欺で近づいて来た場合、戦略的に、この関係を作ってきます。
一旦、友達関係が出来てしまうと、もう失礼なことを言えない感情が湧いてきて、商品評価への辛口指摘を言葉にするのが躊躇われる心理状態に陥ります。
これが、相手の作戦です。
(2)主従関係
2つ目は主従関係です。これは、どういう事かというと、商品について、売る側の方が良く知ってるよ、ということを、訴える方法です。
例えば、投資で言えば、「私は、リッチで、こんなに投資で成功してる」とか、「こんな高級車に、こんな良い家に住んでる」とか、「今日も、これだけ儲けたよ」とか。
まあ、多分、この話をすると、あーっ・・・それは経験した、と言ってくれる人も多いかと思いますが、こういう知識を得た後で見てみれば、ネットには溢れているパターンです。
これが何が有効かと言うと、聞く側に「教えて貰いたい」という気持ちを湧かせられるからです。
人は、「相手が上」「教えて貰おう」という気持ちになってしまった瞬間、素直に相手の言うことを聞き入れてしまう性質があります。
また、道徳的に、「先生の言うことは逆らわず、まずはやってみよう」という言葉を頭に思い浮かべてしまう人も、少なくないでしょう。
(3)恋愛感情
最後は、これも王道と分かっていながら、ハマってしまい易い恋愛感情です。
相手の作戦としては、「あなたと付き合いたい」「会って、デートして欲しい」「将来の結婚も考えたい」こういうことを臭わせて来ます。
また、写真も「笑顔が可愛い」「美男美女」。
こういうものを用意して来ます。
分かってはいるけど、もし相手が好みのルックスだった場合、ハマってしまうパターンです。
こうした3つの方法
(1)価値観の共有(友人作戦)、
(2)主従関係(教えてあげるよ作戦)、
(3)恋愛感情(あなたと一緒になりたい作戦)
の何れかの戦略で、あなたに近づいて来ます。
もし、それが成功した場合、商品、自分、相手の3者の関係は、こうなってます。

すると、自分に取って、騙されない最後のルートは、冷静な商品評価をすることですが、その商品の善し悪しを見抜く知識と判断力がない限り、印象でしか、商品の善し悪しを語れない状態。
実に心許ない最後の命綱です。
そうなると、もう時間の問題。
相手のプッシュに乗せられ、まずは少しと商品購入に踏み込んでしまうことになります。
詐欺グループは、この人間の心情の仕組みを利用して来ますから、
・最初は商品を隠しておく。
・そして、「入り込んだ関係」を作ることに専念してきます。
そして、「入り込んだ関係」が出来たかな、と感じたところで、「この商品さ」という感じで出してくるわけです。
対策、どうしたらよいか
相手のつけ込んでくる心理が、人間が自然と持つ
(1)価値観の共有(友人を作りたい)
(2)主従関係(成長したい)、
(3)恋愛感情(恋愛をしたい)
この3つは、人間が根源的に持つ感情ですよね。
これを持つなとか、いちいち会う人を警戒しなさい、と教えるのは、無くは無いですが、デメリットも大きいと思います。
私は、ネット犯罪には違う対策を考えて、もっと楽しく生きる方を選びたい。
では、何が取れるかというと、
1つめは、いちいち疑えとは言わないですが、100%は信じない。100%信じて良いのは、長年の信頼関係を築いた人だけにする。
言い換えると、ネットでは、こういう心情につけ込んだ、詐欺が横行しているということを知識として持っておくこと。
「感じが良い」と思ってしまっても、ネットでは、「なりすまし」が有ることを忘れないこと。
2つ目は、「詐欺サイト 見分け方」で書いた非常に有効な方法。
・相手の住所証明を取る。
・法律認可状況を、第3機関で確認するです。
また、3つめ、商品のことを、とても良く知るというのは、最高の対処法の一つです。自分の専門領域で、精通しているものなら、インチキは一目瞭然です。
ただ、もし、自分でここまで確認出来るか分からない、自信が無いという場合や、ちょっと引いて、他の人の意見も聞きたいという場合は、
友人、家族も候補となりますし、
「消費者センター」に電話を一本かけるのがオススメです。
私は被害に遭ってから、相談の電話を掛けたのですが、やはり、沢山の被害情報が集まっているだけあって、窓口の方は、今よく起きている詐欺のことを、よく知っています。

なかなか、「入り込んだ関係」になってしまうと、盲目になってしまい、そこまで冷静になれないのですが、
事前に、正しい知識、正しい確認ポイント、を知ることが出来ていれば、多分、出来ると思います。
ぜひ、参考にして下さい。
こちらもどうぞ:「詐欺サイト 見分け方」
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