投資に限らない話なのですが、一度、自分自身が始めたことって、何か肯定したくなりませんか?
買った後に、選んだ後によく見える
例えば、車とか。買う前は色々悩んで「あれも良いな」「こっちも良いけど、ちょっとここがダメだな」とか、甲乙付け難しと悩んでいたのに、いざ、自分が買って、乗り出してしまうと、その車が圧倒的に一押しになったり。
また、男女関係でも、付き合いだした後、彼氏彼女の悪口を言われると、無性に腹が立ったり。
投資でも、上がるか下がるかどうだろう、と思っていたのに、自分が買った後では、上がる材料しか見なくなってしまったり。
つまり、人間は自分がやっている事を否定されるのが嫌なんです。
無意識に否定側を見なくなってる
そうして、どうなるかと言うと、無意識なのですが、否定側の情報を見なくなってしまう。絵で描くと、こんな感じです。

買う前は、どうかなと思って、良い情報(期待)も、ダメな理由も考えていたのに、一旦買ってしまうと、それを肯定する情報ばかりに目が行って、悪い情報への意識を失ってしまう。
心理学では、認知不協和(自分の行動と背反するイヤな情報から、目を逸らしてしまう)と呼ぶのですが、そういう状況に陥ってしまいます。
これの怖いところは、無意識であること。
意識して、悪い情報から目を逸らそうとしている訳で無くて、無意識に見なくなってしまうのです。
投資の場合、危ない橋に油を注いでしまう原因になる
すると、投資の場合、何が起きるか?
もう自明ですが、良いと思ってる状況に陥っている訳ですから、ドンドンと金額を増してしまうのです。それで気付くのは、買ったモノが大損に陥った後、という訳です。
これが、「後の祭り」の仕組みです。
認知不協和への対策
これは、とても難しいです。
答えは、意識的に悪い情報、自分を否定する情報を見るようにする、なのですが、実行が難しい。
よほど深く、このことの必要性と、人間のクセを理解していないと、直ぐに忘れてしまうし、性質に反したことなので、やらなくなってしまう。
自分を否定することが難しい
それ位、人間にとって「自分を否定する情報を探す」ということは難しいです。
むしろ、私たちが本能的に行ってしまうことは逆ですよね。自分は大丈夫だと思いたい。だから、それを支える様な情報が欲しい。
その結果、むしろ、何を見ても大丈夫側に、解釈してしまいがちですし、自分を支える情報ばかりを求めてしまう。
難しいですよね。どん底に居て、顔を上げなければならない時は、やっぱり、大丈夫だ、何とかなるということを信じて、やれることをやっていくしか無い。
だけれども、上がり調子で、何かを始める時は、今度は下側、今まで見てこなかったマイナス側の情報を意図的に求めなくてはいけない。
事業や投資で成功するためには、潮目の変化というものを定義したり、敢えて否定側の情報を探して、自分を客観的に事実を見ようとすることが、とても大切
私は、今回の「6件連続詐欺」の経験を通して、改めて実感しました。
でも、人間の本能は、「いつもと同じだよ」と変化を見過ごしてしまったり、「無意識に悪い情報を見なくなる」
現状維持構造という言うか、恒常性というか、悲しいかな、失敗するための仕組みが埋め込まれてしまっているのが事実かなと思います。
今まで、相手との人間関係や、詐欺サイトの見分け方という、自分の外に対する知識をまとめてきましたが、自分自身のクセ、自分とは、どんな性質をもっているのかという面も、合わせて知識を持つことが大切だなと感じてます。
次回は、この人間が持つ、変化を見過ごして、「いつもと同じ」と思ってしまう心理面についても、考えていきます。
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