高金利通貨として日本の個人投資家に大変に人気の高い南アフリカランド。前回取り挙げたメキシコペソと同じに捉えている方も多いかもですが、特徴が割と違います。
この記事のまとめ: ・金利面では南アランドのメリット高い。 ・ただし、買う時期に応じて「南アランドとても良いよ」と「南アランド絶対手を出すな」と印象が2分化。 ・新型コロナショック以降の、この先2~3年は、歴史的なパターンを見ると、 とても良い時期を迎えそう。 ・米株式との相関が強い傾向があり、米株の安定を確認出来るまで、この先は 少しずつ、様子を見ながら買って行くのがおすすめ。
目次
南アフリカランドの金利面でのメリット
南アフリカランドを買うメリットから見ていきたいと思います。それは疑いも無く金利ですね。下は南アフリカの金利と、他の国と比較したものです。
欧州や日本の国債金利が史上初のマイナス金利に落ち込む中、南アフリカだけは突出していて、一時は10%越え。今(20年8月現在)は少し落ちて8%弱となっています。
それでも金利面で見たら、そのメリットは特出している状況ですね。

南アフリカランド投資の安全性
一方、南アフリカランドの安全性はどうでしょう。高金利なのは基本的には信頼性が低いから。安全性が低いからこそ、高い金利を付けないと買い手が付かないというのが基本的スタンス。新型コロナウィルスショックの時には失敗した個人投資家も多く、「南アフリカランドはジャンクだ」と言う人も居ます。実際を確認してみます。
南アランド投資が口コミで大損すると言われる訳。
下のグラフは東京金融取引所の運営する「くりっく365」が開示している、南アフリカランドの保有量と、南アフリカランド/円の価格推移です。
青色が保有量、オレンジ色が価格です。
これ見ると、基本は逆張りになってますね。
つまり、オレンジ色の価格が安くなった時、青色の南アランド保有量が、ガッと増えてます。

2014年年末~2015年8月の頃には、顕著にその動きが見られます。南アランドの価格が下がるにつれて、逆に保有量はどんどん増えていく。
おそらく買った人は高金利と、中長期目線での価格上昇を期待して、短期の含み損は気にせず、買ったと思われます。
結果どうだったかと言うと、
この時は上手くいったことが見て取れます。
保有量が最大になった後、オレンジ色の価格は上がって行き、その時に、保有量は一気に減って行ってる。
つまり、利益確定が出来たと言うことですね。(^^)
なので、この時に南アランドのことを聞いた人は「ランドって、すごくいいよ!」になっていたと思います。
問題は直近の新型コロナウィルスショック時期です。
この時は20年年初の頃、価格の大きめの下落が大きめに有った時、南アランドの持ち高が一気に上がっています。
おそらく、最初の頃は「新型コロナウィルスは大したことない」論が経済評論家の間で主流だったので(今思うと、信じられないですが・・・)
最初に起きた下落は買いのチャンスと思った人が多かった様です。
ところが、この後、さらに本格的な、そして強烈な価格下落が待ってました。オレンジ色の線は急降下しています。
一方、急上昇した持ち高は急落。おそらく、一部では強制的なポジションカットに遭った人も居たと思われます。
これが「ランドは危ない。絶対手をだすな」と言われる根拠ですね。
つまり、時期によって「ランドいいよ」と「ランドには絶対手を出すな」と極端な2つに別れた訳です。
歴史に学ぶ。南アフリカランドの価格推移
時期によってランドの善し悪しは大分変わって来そうです。歴史を振り返ってみると、南アランドは、どの様な価格推移を示してきたのでしょうか。過去約20年の価格推移を見てみます。

割と特徴的な動きが見えて、3回ほど南アランドが2年~3年感の間、継続的に高くなった時期があります。もし、この時期に南アランドが買えていれば、値上がり益は得られる上、大変な高金利も得られるという、大変によい買い物になります。
では、この時期って何があったのでしょう。
米国株式と南アフリカランドとの関係性
私は面白い関係を見付けたので、ちょっと皆さんにも見て貰おうと思うのですが、米国株式と南アフリカランドとの間に、特徴的な関係がどうもありそうです。

青い線が米国の株式指数(NYダウ価格)、オレンジの線が南アランドの価格です。
注目は米国株式がドカンと暴落したところです。
暴落箇所までは、南アランドの急落が見られます。株式が大きく落ち込んで不安な時に、ランドなんて持っていられるか、という動きですね。
株式暴落に連れて、ランドもきれいに暴落してます。
注目はその後です。
株式の底が確認された、株価が持ち直し始めた時、南アランドは2年~3年の間継続して買われていいます。
この時期が、ランドを買うには最適な時期になりそうです。
そして、直近はというと、株価は過去最大の暴落幅を示したところ。
過去のパターンからすると、この先2年~3年間、南アランドに良い時期が来てもおかしくありません。
南アフリカランドの不安材料。経済不安定さ。経常収支の赤字が拡大の一方
ただ、上で示した南アランドの価格推移を見ると、アメリカで株価暴落が起きた後、2~3年だけが南アランド上昇を見せて、その他の時期は一貫して値段を下げています。
なので、基本ランドは長期で持つものでは無くて、中短期で売買するか、もしくは、この「2~3年」だけは長めに持ってもいいものに思います。
でも、なぜ、こんなに値段が下がり易く、不安定なのでしょう。その辺りを少し見て行きます。

こちらは経常収支の推移なのですが、南アフリカの経常収支は一貫してマイナス。そして、むしろ赤字拡大がし続けています。
経常収支が赤字ということは、自国内から常にお金が出続けている、つまりランドを売り外貨を買って、外国に支払いをしなくてはならない状態です。
実はメキシコも、あとイギリスも、経常収支赤字なのですが、こういう国は外国から借金をする必要があるので、米国の株価暴落とか、大きな経済危機があった時に、がーっと通貨が売られる傾向があります。
比較)メキシコの経常収支

プロの機関投資家は南アランドに、ほとんど投資してない
メキシコペソと南アフリカランドとの大きな違いの一つは、誰が買っているかという点です。メキシコペソは米国の先物取引市場IMMで取引高が開示されている様に、プロの機関投資家も大量に売買をしています。
では一方、南アランドはどうかというと、一応、IMMでも取引はされているのですが、そのボリュームは非常に少なく、ゼロという時さえあります。
なので、プロはほとんど買って無く、買い手の中心は世界中の個人投資家という状況にあります。
金価格と南アフリカランドとの関係
南アフリカは金の生産国として有名です。なので、金の価格が上がった時に、南アフリカランドも価格が上がるのじゃ無いか?という推測はどうでしょう。確認してみます。
下のグラフは青い線が金の価格。オレンジ色の線が南アフリカランドの価格です。ランドの価格は、下がランド高。上がランド安です。注意して下さい。

どうでしょう。金が高くなって行った時に、南アランドが高くなった時期もありますが、逆もあり。ちょっと使い難い感じです。
もしかしたら、南アの金生産量が右肩下がりで、世界の金市場に占める相対位置が、どんどんと低下している面が影響しているのかもしれません。
先ほどの米国株式との方が、明確な関係がありそうです。

大暴落した南アフリカランド。チャートテクニカル面から見てみる
FX(証拠金為替取引)や株式をやったこと無い方には馴染みが無いと思います、価格の過去推移をグラフ上にプロットしたものをチャートと呼びます。
こうすると、今の価格が過去に比べて高くなっているのか、安くなっているのかが分かります。今の状況を見てみると、新型コロナウィルスショックで大暴落した後に、底を固めて反発したところ。
反発から少し、また下がったけれども、移動平均線付近で持ち直し始めている状況です。移動平均線は、向きが上向き(南アフリカランド高)に向きかけてますね。

米国金利と南アフリカランドとの関係
次に米国の金利と南アフリカランドとの関係を見てみます。米国の景気が良くなれば、米国の金利は上がってくるという関係が基本で、メキシコペソを分析した時には、米国金利が高くなれば、メキシコペソへお金が入り始め、ペソが高くなるという関係が見られました。

南アフリカランドと米国金利との関係は、あると言えばある時期もあるのですが、逆の動きを見せている時期もあります。
この点が、プロの機関投資家が買ってないことが響いてくるところです。国債を買うプロは、米景気動向と金利動向に合わせて、大きな資金を国内に戻したり、国外に移したりする結果、メキシコペソの場合は、上がったり、下がったりしています。
ところが、南アフリカランドはプロの機関投資家の投資対象に、ほとんどなっていないので、その動きが弱くなっている様です。
南アランドは今後どうなるか。2020年以降を考察。
2020年8月時点では、新型コロナウィルスショックで南アフリカランドの値段は相当に暴落し、金利の相対的な魅力が高まっています。
今まで見てきた過去のパターンからすると、米国株式が安定して、上昇をすれば、徐々に南アフリカランドも買われ、2年から3年間は、一番良い時期を迎えるパターンになっています。
つまり、価格上昇の利益も得られる上に、高金利収入も得られるという。
ただ、逆に見ると、株価が落ちると、ランドは急落し易い傾向も合わせてありました。
なので、すごく良い時期が来そうなタイミングではあるけど、少し危なさも残っているというのが2020年8月時点の、私の予想になります。
なので、おすすめとしては、少しずつ始めて、長期で絶対保持と頑張りすぎず、下がり始めたら利益を確保してしまう。
そして、また上がり始めたら買うというスタンスを取るのが今は合いそうです。
積み立ての様に少しずつ南アランドを買って行く
南アフリカランドの買い方は、やはり投資信託か、FX(外国為替証拠金取引)の何れかがメインになります。(外貨預金の不安定さについては、メキシコペソへの投資を考察するの記事をご覧下さい)
投資信託については、SMBC・日興の運営しているものなどがあります。FXに馴染みの無い方は、こちらに惹かれるかもしれないのですが、手数料が購入金額の1.8%も毎年掛かってきます。
これは値段が下がって、損をしたとしても掛かる費用になってきます。
費用払ったのだから、必ずプラスにしてくれるなら、払う価値もあると私は思うのですが、下がったら購入者責任というのは、
何だかなと私は思います。
南アフリカランドの購入単価は6万円程
なので、FX口座を通して買うのがいいと思います。20年8月現在だと、1ランドが6円程で、購入最低単位が10000通貨なので、6万円程から買うことが出来ます。
FX口座の場合、毎日金利が付与される仕組みになっていて(一部の会社では売った時に、まとめて付与)、ランドを6万円買った場合、毎日約5円。年間だと約2000円弱の金利が付いています。
南アフリカ通貨ランドを買える場所
南アフリカランドは扱っている会社が多いので、色々選べます。ただ、米国株式が安定すれば、この先2~3年は良い時期を迎えそうですが、それまでは、こまめにチャートをチェックし易い会社を選ぶのが良さそうです。
チャートはスマホで確認することが多くなり、ツールの使い易さは好みがあるので、ご自身で使い易い会社を探すのも、大切になると思います。口座開設自体は無料なので、幾つか、まず使ってみて合う会社を選んでみても良いですし、1つどこかに最初から絞ってみるのもいいと思います。
私がいいと思うところでは、
DMMは、元々ピンクビデオで芽を出した会社ですが、社長の亀山さんを慕って、やる気に満ちた若手が入社し、彼らの提案が通れば、事業を広げるという活気ある会社です。為替取引も参入し、積極的にツールやサービスの工夫をしてます。
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