ポーランド通貨ズロチ

個別銘柄・通貨

最終更新日: 2020.11.19

ポーランド通貨ズロチ を考察する。東欧の高金利成長国。【2020年版】

今回はポーランドの通貨ズロチについて取り挙げたいと思います。実はポーランドは現在、欧州の中でも高い成長が進んでいて、通貨のズロチも信頼が高く、ユーロとほぼ同調して動いています。そして成長背景には、ポーランドの優秀な人材と、地理的な優位性、激しい歴史的背景があったりしてます。

映画にもなったリトアニア日本領事館領事代理だった「杉原千畝」。1940年、千畝はビザ発給で6000人のユダヤ人を助けたと言われていますが、その多くはユダヤ系ポーランド人でした。

なので今でもポーランドは親日な人が多く、5000人以上の人が日本語を勉強してくれてる状況です。

今回は通貨ズロチの特徴を、経済状況と歴史背景も絡めながら、説明したいと思います。

ポーランド ズロチはユーロと同調して動いている

まずポーランド通貨ズロチの動きから確認してみます。このグラフはズロチとユーロを比較したもので、2005年1月1日時点を100として、以降の変動を比較しています。

ズロチはとても強くて、経済規模的にはEUの何分かの一に過ぎないのですが、ユーロとほとんど同調して動いています。

比較に、EU加盟の東欧ハンガリー通貨フォリントも並べましたが、ポーランド通貨ズロチの強さが、よく分かります。

ポーランド ズロチは金利が付く分だけ有利

ポーランドズロチは、ユーロ同等に動く。そうなると、ユーロを買いたい時、代わりにポーランドズロチを買うという作戦が考えられます。

ユーロを買うと、金利はドイツ国債金利を基準に付与されます。ところが、ドイツの金利はとても低くて、マイナス金利。

なので、むしろ保有するほど、支払いが起きるという状況です。

それならば、高金利のポーランドズロチを代わりに買う。そんな手が取れます。

さすがに直近では、新型コロナウィルスショックでポーランドの金利も下がっていますが、ユーロ全体の成長率よりも、ポーランドは高く、金利もユーロを、ずっと上回っています。

eurostatデータから著者作成

ポーランド経済が強い理由

ポーランドの経済は欧州平均を上回る成長を見せて、経常収支も黒字化となってきました。その強さを支えている要因は大きく二つ。地理的な優位性と、優秀な人材です。

ポーランドの地理的優位性

2019年 アマゾンがポーランドのウッチ近郊に4万4800平方メートルのロジスティックセンターを建設すると発表しました。

地図を見ると分かるのですが、ポーランドって、ドイツ、ロシア、北欧、東欧諸国に対して、地理的に中央に当たります。

なのでアマゾンが物流拠点を建設するのも分かります。

ドイツとロシアに挟まれた位置が、歴史的悲劇も、もたらした

地理的な優位性を持つポーランドですが、歴史的には強国ドイツとロシアに挟まれた位置であるため、どちらかが拡大路線を取った時、常に侵略を受ける対象となってきました。

歴史を見てみると、侵略を受け、ポーランドという国名が地図から消えた時代もあったり、国が復活したと思えば、すぐに侵略を受けの繰り返しでした。

ポーランド首都ワルシャワで起きたユダヤ人迫害については、多くの写真も残っています。

ポーランドの稼ぐ力の増大

2004年ポーランドはEU加盟を果たし、EUの巨大市場に対して関税フリーでアクセスすることが可能となりました。その結果、隣接するドイツ自動車産業の生産拠点。そして、優秀なポーランドの欧州各国への進出という流れが起きています。

黒字化まで到達したポーランド経常収支

ドイツの生産拠点として、また地理的優位性を活かした物流センターからの収益などによって、ポーランドの収支は構造的に改善を続けています。

ポーランド国立銀行が発表している数字を見てみても、2007年~2012年程度まで恒常的に貿易赤字だったけれども、直近では黒字化までする迄に改善

また、物流センターからの収益などによるサービス収支が右肩上がりで増えています。

Narodowy Bank Polskiから引用

ドイツ自動車産業の生産拠点としてのポーランド

ポーランドの貿易は8割がドイツ相手となっています。そして、8割のほとんどが、ドイツ大手自動車メーカーの仕事。

地図をもう一度見直すと分かるのですが、ドイツとポーランドは隣同士で、幹線道路でつながった関係。加えてEU加盟同士ですから、出入り自由で、関税もゼロの関係です。

世界最大の自動車生産台数を競うフォルクスワーゲン社の工場配置を、同社資料から持ってきたのが次の地図です。

フォルクスワーゲン社は隣接するポーランドに、9つの工場を持っていることが分かります。そして、ほとんどの工場をドイツと連絡の良い幹線道路沿いに配置しています。

戦略的ですね。フォルクスワーゲンは、物流と経済性、生産性を考えて、工場配置をしていることがうかがえます。

VW社IR資料より、著者作成

ドイツから国境をポーランドに越えるだけで、人件費が4割未満

ドイツのフォルクスワーゲンが、どうして、これだけの工場をポーランド国内に作っているかと言うと、メリットが3拍子揃っていて

・優秀な人材
・低賃金
・物流の良さ

の3つが同時に得られるからです。

OECD(経済協力開発機構)が、”Better Life Index“という、各国の暮らしを指標化して比較した結果を発表しているのですが、それを見ると、ポーランドの抱えている事情が、より見えて来ます。

ポーランドを、先進国のアメリカ、ドイツ、日本と比較してみてみます。すると、教育に関しては、ポーランドは劣らず、むしろアメリカより優れた数値をたたき出しています。

つまり、ポーランドには低賃金で優秀な人材が居る訳です。

日本の自動車会社の場合は、安価な賃金の労働者を確保しようとすると、海を越えて、東南アジアの後進国を狙うなどしなくてはいけないのですが、

フォルクスワーゲンは、幹線道路を少し走った先に、優秀で安価な人材を得られる拠点を持てている訳です。

国境を越えると言っても、EU加盟国同士ですから、通行自由で関税も無し。

フォルクスワーゲンにとって、ポーランドを自社の生産ネットワークに組み込むことのメリットは計り知れません。

ポーランドの人材流出問題

逆に言うと、ポーランドの優秀な人は、陸続きの国境を一つ越えるだけで、賃金が一気に上がる訳です。ポーランドでは多くの若者が、「海外で活躍したい」とアンケートで答えてますが、それはそうですよね。

巨大なEU市場では、より高賃金で活躍できる場がある。

EU内は人材の流動性が確保されている。ならば挑戦しよう。

ただ、ポーランドがより成長した場合、海外で経験を積んだ、より優秀な人材が母国に戻り、さらにポーランドが発展する原動力になる

そんな展開になると、嬉しいですね。

ポーランドが生んだ偉人達

ポーランドの人材が優秀なのは、今に始まったことではありません。歴史的にも多くの傑出した人材を生み出してきました。ショパン、地動説を唱えたコペルニクス。ノーベル賞を2度受賞したマリー・キュリー。そして、第2代のEU大統領に就任したトゥスク。

ドイツ、ロシアの大国に挟まれ、常に侵略の憂き目に遭ってきたポーランドですが、だからこそ、これほどの人材を輩出することになったのかもしれません。

マリー・キュリーが活躍したのが1800年代後半。

キュリー夫人の祖母や、お母さんは、1800年前半に、ナポレオンに依ってポーランドが征服された景色や、その後のフランス革命を見て人生を送ってきた世代になります。

キュリー夫人の伝記を読むと、すさまじく、11歳の時に母を結核で亡くしながら、お姉さんと二人でパリ留学を目指します。

まず、姉が医学で留学し、その間、妹のキュリーは住み込み家庭教師をして、姉を支えます。そして、その後、いよいよ自分が18歳になった時、パリ大学に留学を果たします。

平和で温厚な国に育っていたら、ここまでの激しいバイタリティは生まれなかったかもしれません。

将来有望で底堅いポーランド通貨ズロチ

今まで見てきた通り、ポーランドは地理的メリットと優秀で低賃金の人材が確保出来ることから、アマゾンなどの物流センターが作られ、さらにドイツ自動車産業の生産拠点として成長してきました。

経常収支の内訳にも明確に反映されていて、貿易収支は赤字から黒字化へ。サービス収支は黒字の金額が右肩上がりの状況です。

物流センターとしての位置づけ、生産拠点としての位置づけは、景気動向で変わるもので無く、構造的にポーランドが強力になっていることを示しています。

構造的な変化なので、景気動向で、この流れが変わることは無く、むしろ、自動車生産にしろ、物流拠点にしろ、IT系の進化が益々見えている分野なので、これからポーランドには、そういった技術が持ち込まれる訳です。

おそらく、そこで力を付けて自国の産業も生まれてくるでしょう。

ポーランドの未来は、飛躍的に進化は言い過ぎだとしても、底堅い!、そんな風に私は見てます。

ポーランド通貨ズロチの買い方

ポーランド通貨ズロチは、日本では、あまり知られていないので、取り扱っている会社は少なく、私が知ってる限りでは、「みんなのFX」くらいです。

みんなのFX

補足:親日なポーランド(後日追加予定)

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