日本の財政破綻、ハイパーインフレの可能性

お金の教室。地道に投資を学ぼう。

最終更新日: 2020.09.24

財政破綻とハイパーインフレに日本はなるのか?戦前との比較から国債破綻を考察する。

日本は財政破綻し、ハイパーインフレが来る。もう何年も言われ続けながら起こらず、逆にデフレの方が懸念される現状。日本の財政破綻も、ハイパーインフレも起きないのでしょうか?私達が投資を考える時、とても重要なので、今回は、この点を考察してみます。

目次

ハイパーインフレの怖さ

まず「ハイパーインフレ」とは、どういう状況になるのか。日本で最後に起きたのは戦後のこと。その時の状況確認から始めたいと思います。

ハイパーインフレのパターン。戦前~戦後に見られた状況。

戦前~戦後を振り返って見ると、最初はじわじわ、そして2倍、3倍と庶民的には大きな値上がりがあって、四苦八苦していると、さらにドカンと来る。こういうパターンが見えて来ます。

小豆の例

例えば、小豆(あずき)。赤飯や餡に使われる、日本人には縁の深いもの。現代人は馴染みが減ってきましたが、当時は生活に根付いた商品でした。

生活に根付いていた小豆の値段推移を見てみると、「最初はじわじわ。そして、2倍への上昇」が起きています。

物価の文化史事典」(森永 卓郎 (監修))から数値引用し、著者作成

そして、ドカン!

同じ事は、世界共通に人類の歴史で評価され続けてきた「金」でも見られます。

金の例

金の価格は、日本は1923年の関東大震災、1929年のNYブラックマンデーをきっかけとした昭和恐慌。1930年の満州事変を受けてじわじわと上昇開始。

1931年の高橋是清による金兌換制の停止を受けて上昇加速。

1930年(昭和5年)の時、金1gが1円36銭だったものが、3年後の1933年には3円5銭と2倍強の上昇をします。

続く、1936年に二・二六事件が起き、高橋是清が暗殺されると、財政膨張が加速と同調して、金は再上昇開始。太平洋戦争開始直前の1939年は金1gが4円61銭まで上昇。そして、取引停止に入ります。

物価の文化史事典」(森永 卓郎 (監修))から数値引用し、著者作成

そして、金価格もドカン!が来ます。

1945年の敗戦。日本はアメリカの管理下に入った後、1946年には金1gが150円。1939年の30倍強となりました。

金の上昇は、ここで終わりません。

日本が、金の国際的な取引自由化に戻るのは、1973年まで待つことになったのですが、その時の金価格は金1gが1140円。さらに、10倍へと跳ね上がりました。

お金の価値が激減した

金の価格に、日本円の価値を照らし合わせて考えて見ると、日本円の価値は激減した訳になります。例えば、100万円の貯金を持っていたとすると、まず4分の一の25万円になり、さらに25分の一の80銭の価値になる。

こういう、今の感覚では想像もできないことが起きた訳で、

紙幣の価値が、どんどん目減りし、ほぼゼロとなってしまいました。戦後に起きたハイパーインフレとは、こういうものでした。すさまじいです。

日本の財政状況。戦前との類似

日本でハイパーインフレが起きる可能性が心配されている原因は、巨大な政府債務。国債の膨張からです。

戦前の債務膨張は、結果的にハイパーインフレにつながって行ったのですが、まず、当時と現在の状況を比較することから、話を始めてみます。

下のグラフは、戦前と現在の「国債発行残高推移」「税収推移」「米ドル円の為替レート推移」をグラフに描いたものです。

明らかに共通なのは2点

・国債債務が右肩上がりに増大していること

・そして、税収の増加が、債務増加に付いていけず、発散していること

です。

違いは1点

・為替、米ドル円が右肩上がりで無く、低水準(円高)に維持できていること

になります。

戦前の詳細状況振り返り

「歴史は繰り返す。ただし、(全く同じでは無く)韻を踏む」。つまり、人間は同じ失敗を繰り返す。ただし、状況と環境が違うため、完全に同じでは無い。だけど、同じパターンがのぞき見られるという意味です。

財政破綻し、ハイパーインフレに至った戦前の実例を勉強して、現代につながるパターンがあるか、考えてみたいと思います。

戦前の米ドル円の為替レートと、国債発行残高推移。出来事。

先ほどのグラフに、起きたイベントを追記してみました。

赤字が米ドル円の為替レートなのですが、まず1923年 関東大震災が起きた年に、5割以上も円が減価(円安)に動いたことが分かります。

でも、関東大震災をきっかけにした5割もの円安は、その後の未来から振り返って見ると、一時的なものでした。

1926年には震災前の水準に戻しています。

高橋是清蔵相 金解禁廃止と国債の日銀引き受け

一方、日本円の構造変化。水準を変えてしまった出来事は、1931年の高橋是清(当時)蔵相による「金解禁廃止」でした。

これは何かと言うと、金兌換制の廃止です。

日本紙幣は金と交換を保証した金兌換制へ一時的に戻っていたのですが、高橋是清蔵相は、これを廃止しました。

金兌換制への復帰「金解禁」
当時、世界では第一次世界大戦の際に、金兌換制を停止する国が多かったものの、アメリカが1919年、ドイツが1924年、イギリスが1925年、イタリアが1927年、フランスが1928年と次々に金兌換制に復帰が続いていた状況でした。 日本は復帰には慎重でしたが、1929年、井上準之助が蔵相に就任すると「金解禁」を実施。しかも、当時の為替レートよりも円高の水準で、金との交換レートを設置。 世界の経済状況がNY株式暴落で落ち込む中に行われた円高誘導。輸出不況が当然もたらされ、一方、強い円は輸入を増やし貿易は赤字化。 外貨獲得の為に金が国内から流出していく状況をもたらしました。

高橋是清蔵相の政策は、リーマンショック時にFRBバーナンキ議長が、それを真似したと言われますし、現在の各国中央銀行の政策の根っ子になっていく訳ですが、主な点は3つです。

金の裏付け廃止。日銀引き受けによる国債の増発。税の据え置きです。

高橋是清政策と、市場の反応

日本円の信頼の裏付けだった金との兌換を廃止さらたことに、ドル円は強烈に反応し、ほんの数ヶ月の間に、価値が半分以下に減価しました。

日本円の価値低下を嫌った、外貨への資本逃避と、それへの便乗を狙ったドル買い円売りの投資が要因でした

資産保護という観点から見ると、最初のタイミングがラストチャンスだった

この時、金輸出再禁止を見込んで、三井財閥は米ドルを買いだめ。強烈な利益を得たと、噂されています。

数ヶ月に半分の減価(円安)ですから、今に例えると、1ドル120円が、数ヶ月で240円・・・。すごい利益になりますね。

私は、自分たちの資産を守り、増やしたいと思って、こうやって当時のことを調べて勉強している訳ですが・・・

この時期の出来事から、もう一つ、私が気付いたことがあって、ご紹介しておきます。

実は、利益を得る。そして、資産を守るチャンスは、この最初のタイミング。高橋是清蔵相が、1931年に金解禁廃止をして円暴落が最初に起きた時、ここが最後のチャンスになったのかもしれないということです。

歴史の記録を調べると、円が暴落直後、「資産逃避防止法」、さらに、翌年「外国為替管理法」が制定されています。

円の暴落が一旦落ち着いている点から、詳細は分からないですが、海外資産の取得に強い規制が入った様子。

外貨投資規制。資本逃避防止。外国為替管理。

さらに緊急時突入(開戦)と共に、取引は全面停止。つまり、後は茹でガエルになるしかない状況に入っていきます。

つまり、円資金を逃がすには、最初の暴落前が、最初で最後のタイミングだった、ということになりそうです。

国債発行の膨張と増税の嵐へ突入

高橋是清蔵相は、日銀引き受けで国債の増発を行いましたが、無制限という訳で無く、日銀から銀行へ引き受けさせるシンジゲートを構築したり、

日本円の安定を考えて、国内の金保有を固持したり。軍事費も一方的な増加で無く、削減に手を入れようとしたり、数年単位での財政均衡化を図った考えをもっていました。

なので、もし高橋是清が続けて政権中央に居れば、その後の歴史は変わっていたかもしれません。

変節となったのが、「二・二六事件」でした。

軍部青年将校によって、高橋是清蔵相は暗殺。

その後、軍事費増大と、その為の国債発行に歯止めが掛からなくなり、盧溝橋事件勃発、日中戦争突入。米国の対日圧力開始とつながります。

当時は、国債増発を支えるため、国民に課せられた税金もすさまじい状況へと登り詰めます。

国債増発共に増税の嵐

当時の課税がどうだったか、という記録が詳細に残っています(『昭和財政史』)が所得税、相続税の大増税しかり。ビール、砂糖、株取引、銀行利子、灯油、マッチ、入場税(運動競技、劇場)・・課税対象追加、課税額の増強。これが次々と繰り返されました。

「贅沢は敵だ」

この標語が作られ、啓蒙が開始されたのは1940年の事でした。

贅沢は敵だ

ハイパーインフレは何時起きる?きっかけは政府主権の喪失・負担の膨張・日銀の非連動

金解禁禁止により、「日本円」は金の裏付けがなくなり、価値の根拠は日本政府が発行する国債、つまり日本政府への信用だけになりました。ところが、国債増発された状況で敗戦。日本は主権を喪失。1951年サンフランシスコ講和条約までの7年間、日本はアメリカの管理下になりました。

日本政府は主権を失った上、敗戦で、戦争賠償が発生することが、予期される状況となりました。

膨張した日本国債への返済見込みは、もはや喪失。

米管理下に置かれたため、日銀と連動して、通貨価値を維持する政策も取れず。

そうすると、日本円の価値が毀損するのは自然な成り行きです。冒頭に見た通り、小豆の値段は32倍、金の価格は30倍等、物価は一気に跳ね上がりました。

政府主権の喪失・負担の膨張・日銀非連動

敗戦したからハイパーインフレになった。確かにそうなのですが、どうして敗戦すると、ハイパーインフレになるのかという点を考えてみます。

敗戦する前から、金との交換は停止され、債務は膨張。

暴落しても良かったものですが、それまでがどうして日本円の価値を維持できていたかを考えてみると、

・政府の強い統率(外国資金逃避の制限、世論誘導など)
・日銀の国債買い取り

歴史を見てみると、こういう点があったからこそ、価値が維持できていた様に見えて来ます。

そして、敗戦で、その2つが失われた上、さらに支払い負担が増加することが見込まれた。そこで、インフレへのトリガーが引かれてしまった訳です。

ハイパーインフレへのきっかけ
戦前~戦後ハイパーインフレ迄の流れ

現代に照らし合わせてみると、債務膨張は同じ。

でも、戦後と違い、政府や日銀が主権を失う状況は現状ではあり得ません。日本は独立した主権を持つ国家です。ただし、もし、日本が自身で債務を処理しきれない状況が起きた時、IMF等の介入は起こりえます。

・政府の支払い見通し喪失

・日銀の国債引き受け「量的緩和策」の継続困難

となった時に、戦前と同じパターン、つまり占領される訳ではないけど、政策の主権を失う状況に入るのでないか、と思います。

日銀が量的緩和策を続けられなくなる時。マイナス金利継続の限界。

日本政府は税収だけでは、補えない支出を借金をする、つまり国債を発行して、それを買って貰うことで補ってきました。

その額は、冒頭で見た通り1000兆円に登る額にまで至ってしまっています。

(再掲)

でも日本政府が借金をするには、お金の貸し手が必要な訳ですが、誰が貸してくれているかというと銀行。

私達が銀行に預金すると、銀行は再度の貸出と共に、その資金を国債購入に使っている訳です。ところが、2012年 安倍総理誕生と共に、日銀総理に黒田東彦が就任してから、様相が変わりました。

2012年を境に構造変化(財務省 国債統計から作成)

グラフを見て貰うと分かりますが、2012年を境に市中銀行は国債の持ち高を、どんどん減らす一方、中央銀行(日銀)が、銀行が売る国債を引き取り、さらに新規に政府が発行する国債を、どんどんと飲み込んでいる様子が分かります。

つまり、政府の膨張する借金の貸し手は、中央銀行である日本銀行となっています。

マイナス金利へ突入

日銀は国債を買い支え、政府が高水準(年間100兆円規模)の歳出を維持するのを助けた他、国債を額面より高い値段で買い進めることで、「マイナス金利」という状況まで突っ込みました。

マイナス金利とは、過去には信じられない状況で、「お金を借りる方が得をして、貸す方が損をする」ということです。

マイナス金利って何か?

マイナス金利って、驚きですよね。今までは、お金を借りる側が、元本に利子を足して返す、これが「常識」だったわけですが、マイナス金利の世界は、この「常識」が崩れました。

にわかには意味が分からないですが、こういう世界です。

日本政府
日本政府

100万円を1年間貸して下さい。101万円、つまり利子1%を付けて1年後に返済します。

日本銀行
日本銀行

OKです。その債券を101万5千円で買いましょう。返済は101万円で大丈夫です。

日本政府
日本政府

まじっすか・。もっと借金したいんですけど。

マイナス金利の実際

日本国債は、主に「落札方式」という、もっとも高い値段を付けた人に売る方法が取られています。落札に参加するのは、主に銀行。落札状況は、財務省のHPで公開されているので、何時でも見られるのですが、利子後の価格よりも、本当に高い値段で買われていることが分かります。

財務省 国債等関係書資料 入札結果から引用

満期まで持っていても損をするだけなのに、どうして銀行が買うかと言うと、さらに高い値段で日銀が引き受けてくれると読むから。

世界一安全資産とされた日本銀行国債が、今やババ抜きの場所になってしまっています。

金利を主眼、保有前提とした資産から、より高く売り抜けるだけの、ババ抜き合戦。

国債が、そんな状況になってしまっています。

日銀はマイナス金利を引き受け続けられるのか?

日銀は自分で紙幣を刷れる訳ですから、いざとなったら幾らでも国債を買い込めるでしょう、と思っている人が多いそうですが、そんなマジックはありません。

日銀だって損をします。

「紙幣をすればいい」と言いますが、日本銀行は刷った紙幣は紙吹雪の様に、空から降らせる訳では無くて、担保と交換します。

日本銀行が国債を買った時、紙幣の担保として国債を計上します。

なので、紙幣発行高は、担保に取った国債の評価額とバランスが取れていることが必要です。

満期まで国債を持っていた時、買った時に使った金額が戻って来ない

「量的緩和策」で日銀は、最大の日本国債保有者になりました。なので、もし、満期に来る前に日銀が国債を売ろうとするものなら、需給が崩れ、暴落必須です。

なので、日銀は満期まで、じっと持っているしかありません。

ところが、「マイナス金利」まで日銀は踏み込んでしまったので、満期まで持っていた時に、目減りが起きてしまいます。

つまり、買った時の金額が戻って来ない。日銀としては損失になります。

日銀は、債券取引損失用に引当金を積んでいますが、その額、約4兆8千億円

一方、国債保有額は486兆円。1%分でしかありません。

日銀保有の内、損失が出そうな国債の割合

日本政府が国債を返済できるかは別問題として、返済できる限り、日銀としては平均利回りがプラスである限りは、問題がありません。

ところが、国債の利率が下がっている上、マイナス金利まで突入。もし、平均金利がマイナスに踏み込んでしまった場合、日銀は損失計上することになります。

日銀から平均金利の数値は公表されて無さそうなので、保有額と金利の推移から、状況の雰囲気を推察してみます。

上のグラフの赤ゾーンはマイナス金利ゾーン。つまり、この時に買ってしまった国債は、日銀にとって損失が出ることになります。

これで見ると、代表銘柄の10年国債が2106年と19年にマイナス金利入り。短期の2年国債は、ずっと水面下のマイナス金利。

超長期の30年国債はプラス圏を維持するものの、利率は1%未満に低下し、2019年では0.5%を割り込んでいます。

では、日銀は、どの年数の国債を、どれ程持っているかですが、公表数値があり、グラフ化してみました。10年国債未満が7割弱ですね。

マイナス金利の時期に買った国債ばかりでは無いでしょうが、一番量を持っている10年債未満は、現状、マイナス金利ゾーンを出入りしている状況。

なので、日銀の懐事情はギリギリでやってそうで、プラスが出るかどうかの瀬戸際に来ていそうです。

日銀が債務超過に至った時にどうなるか

銀行の銀行である中央銀行が債務超過。そんな事態は過去に想定されていなかった為、明確な取り決めが無いのが実情の様です。

ただ、手は一つしか無く、政府に助けて貰うことしかありません。

でも、ここで矛盾が出ます。

政府は歳出が歳入を大幅に上回る状態で、借金で補っている状況。それで、その借金は誰が引き取ってくれているかというと日銀。

つまり、日本政府は日銀で支えられている。

で、日銀が債務超過に至ったら、誰に助けて貰うかというと日本政府しかない。

えっ

つまり、日銀が債務超過に陥ると、政府に助けて貰うしか無いけど、

政府も借金が無いと、台所が回らない状態。

だから、日銀の債務超過を補うために、政府は新たな借金をするしか無く、

その借金は、債務超過の日銀が引き受ける。

つまり、借金の雪だるまに完全に陥ってしまう訳です。

こうなったから、すぐにダメという訳ではありません。ただ、こういう状況を日本国内のプロの機関投資家や、個人がどう見るか?

もし、「もうダメだこれは」と思って、海外へ資本逃避を始めたら、これは引き金が引かれる状態になります。

機関投資家が次々と海外へ資金を移す動きで、円安が進行。それを見た個人投資家が追従し、「日本売り、日本不安」の文字がマスコミを賑わす様になり、

多くの日本人の心理が不安定化。

投資に興味を持っていなかった人までが、海外資産購入を考え出す。

この流れに陥ったら、いよいよです。

政府側要因はどうか?日本政府は国債を返済できるのか?

戦前~戦後の財政破綻、ハイパーインフレ発生への振り返りから、現在に同じ事が起きる経路は2パターン想定されました。一つは日銀が国債購入継続から離脱。もう一つのルートは、政府の返済見通し喪失です。

(再掲)ハイパーインフレへの2つの引き金ルート

日銀ルートは、「日銀の債務超過転落」が、きっかけになるだろうことを見てきました。では、政府側ですが、こちらは、より話が簡単で、「政府の収入では、もう、借金が返済仕切れない」状況になった時です。

例で考えてみると、割と簡単な話です。

例えば、私が毎月30万円の収入があるとします。

この時、実は借金があって、毎月10万円の返済をしなくてはいけないとします。きついですね。ただ、30万円の収入があるので、10万を返済に回し、残りの20万で何とか生活ができます。

では、次に毎月20万の借金返済が必要な状況に陥ったらどうでしょう。これは、相当ヤバいですね。30万の収入の内、20万を返済に回し、残り10万。

ただし、着るもの、食べるものを、ギリギリに節約すれば、何とか持ちこたえられるかもしれません。

では、毎月40万の返済が必要な状況に陥ったら?

これは、収入30万を全て返済に回しても、まだ10万円が返しきれません。そして、残った借金には利子が付きますから、借金は減らず、雪だるま式に増加。

こうなったら、もう、破産を選ぶしか手がありません。

政府も同じです。

政府の歳入と歳出の関係

では、日本政府は、破産を選ぶしか無い様な、ヤバい状態に陥ってしまいそうなのでしょうか?まず、収入(税収)と支出の関係から見てみます。

財務省 一般会計統計から作成

1975年から2020年までの税収と、歳出の関係を示したものです。

あれですね。完璧「ハの字」型。

本当にヤバい状況です。

こうなると、手は税収を増やして、歳出を減らす両方向を一度にやるしか無い。

ただ、歳出は減らすにも、家計と一緒ですが、家賃や食費など、固定費になっていて、減らしにくい支出がある。

そして、過去の推移を見ると一目瞭然ですが、「生活レベルを落とす」ことって、出来て無くて、歳出は下方硬直性があって、過去何度も「歳出削減!」と政策論点に挙がったにも関わらず、

減ってないと言ってよく、右肩上がりの単調増加に近い。

また、もう一つ忘れていけない固定費が、借金の利払い費。

日本政府は累計1000兆円もの借金を抱えてしまっているので、その金利支払いだけでも、相当な額なはず。

ところが、ここに逃げ道があって、ながく続いた低金利と、近年のマイナス金利のおかげで、90年代の、まだ借金が200兆円だった頃よりも、現在の方が、むしろ利払い費は減っている状況。

日本の国債残高と利払い費の推移

ただ、投資をしたり、ビジネスをやられている方は、痛感されていると思いますが、拡張してしまった設備やポジションは、強烈な落とし穴の前兆。

逆回転をし出した時、とにかく脆弱な体質になってしまっています。

増税で持ちこたえられるか?

歳出は下方硬直性があって、削減しにくい。おまけに利払い費や、固定費になってしまった支出もあって、下げられる余代が多くは無い。

そうすると、収入(税収)を増やすしか残された手は無いという状況になります。実際、戦前の国債発行が膨張した時期には、同時に強烈な増税が行われました。

マスコミも総動員。「贅沢は敵だ」のキャッチフレーズをプロパガンダとして流し、戦争で勝つために、国の緊急時という状況でもあり、国民全体で苦境をしのんだ状況でした。

(再掲)戦前は増税の嵐

では、現在の国民が同じ事ができるか。

そして、増税の余代があるかです。まず、原資があるかですが、

日本の国全体の稼ぎを示す「経常収支」の推移を見ると、驚くのですが、「貿易立国日本」と呼ばれたのは、もはや昔のこと。

2011年の東日本大震災を契機に、日本は貿易で稼げなくなっています。

e-Stat統計で見る日本からグラフ著者作成

震災で工場の移設という動きも起きましたし、産業構造も変わり、スマホなんかは、部品を除いて国内勢が全滅。ほぼ全てが輸入になってしまいました。

結果、日本は貿易では稼ぐ力が無くなっていて、過去に稼いだお金を運用したり、海外に買収した子会社からの収入で、成り立っている状況になっています。

企業には課税がし難い時代

企業も稼げなくなって来ている。ただし、お金を稼げる存在は政府・個人・企業の内、企業だけですから、やはり企業に増税の負担を持って貰いたいところ。

ところが、企業は稼げる唯一の存在だけに、特にグローバル企業については、世界各国で誘致合戦になっています。

実際、財務省も法人税の国際比較の数字を発表してるのですが、国際的な法人税の税率低さ競争になっています。

財務省公表の国際法人実効税率比較

なんで、こうなるかと言うと、グローバル企業にとっては、本社をどこに置くかについて、制約は薄く、税率の良い場所に移せば良い、という合理性が働きます。

特にITのソフトウェア系企業の場合、生産設備を持たない分だけフットワークが良くなり、税金の安い国に、すぐに逃げてしまう訳です。

なので、税収の推移を見てみても、企業から取る法人税の額は横ばいから低下にあり、税収は個人の所得税と、消費税頼みとなっています。

なので、予想出来る未来は、所得税と消費税が益々上がっていくということになります。

財務省公表数値から作成

個人が政府債務を支えきれるか

企業からは取れない。個人から取るしか無い。でも、個人はさらなる大増税を負担できる体力があるのでしょうか。

2018年までの国民調査(内閣府

内閣府の国民調査の結果を見ると、収入面で「不満」と答えている人が過半数以上の状況です。

さらに、ショックなのが、こちら。

日本、韓国、ドイツの賃金比較
OECD DATAから著者作成

OECDが公表している平均賃金の数値で、産業構造が似ている日本と、ドイツ、韓国の数値を取ってきて、グラフにしたものです。

これをグラフ化した時、えっ・・と声が出ちゃいました。

日本は韓国に平均賃金抜かれているんですね。

おまけに、1990年の頃は拮抗していたドイツの賃金ですが、今や日本の4割増しです。

この停滞状況において、個人にさらに増税していくのは、限界が見えています。

個人として資産を守るために

とても国としては厳しい状況ですが、私達個人は、できるだけ対策を取りたいところです。まず、基本は「外貨」に資金を移せる様、構えを始めておくこと。

先進国のGDP世界3位、4位規模の日本が揺らぐことになるので、おそらく通貨全体に動揺が走る事態になるはずです。

危機の時は米国ドル

そういう危機の時に、強くなる通貨は、やはり基軸通貨である米国ドルと考えられます。なので、逃避先は米国ドル、もしくは経済状況に応じては、米国株式も候補になって来ます。

アベノミクスが始まった後、日本の大手企業が海外企業を買収するニュースが幾つか流れました。あれは、表向きは「事業拡大」ということですが、本音の何割かは、日本の財政破綻に備えて、海外米ドル資産に、資産を移しておくことだったと思います。

次は金

次は金です。金は歴史的に証明された安全資産。特に世界が動揺した時に強さを発揮します。

財務破綻のトリガ

トリガが何時弾かれるかの時期は分からず、先かもしれないですが、何時起きてもおかしくは無い状況です。

具体的にタイミングとなりそうなのは、本文でご紹介した通り、まず2つ。

(1)日銀の債務超過が明らかになった時
(2)日本政府の歳出が増加の一途をたどり、歳入(税収)と乖離が明らかになった時

後、考えられるのは、以下2パターンです。

(3)政府要人(総理、財務大臣、官房長官)や、日銀総裁が不安を呼ぶ発言をこぼした時

(4)海外景気が回復し、海外金利が高くなった時

特に(4)になった場合は、日本の大手機関投資家が、政府に遠慮すること無く、大手を振って、海外に資本を移せるので、確率が高いパターンです。

機関投資家の動きが健著になると、マスコミで取り上げられ、個人投資家が追従。さらに、それが噂になり、投資に興味が無い様な一般の人までもが、海外資産の話題をし出す。

そういう状況になった時が、いよいよという時です。

米ドルか金を買う

米ドルはFXを扱っている会社なら必ず買えます。金は、方法が大きく2つ有って、現物を買って金庫に保管するか、もう一つは金指数を買う方法です。

現物を買うのは、田中貴金属 等で買い、自宅の金庫に入れるか、もしくは預かりサービスを利用して保管します。

ただ、金のバーを買おうとすると、大きな金額が一括で必要となりますし、保管も大変というデメリットがあります。

一方、金指数は小さい額でも買えるのと、何時でも売れるし、保管場所が要らないのがメリットで、今、金投資は、こちらが中心になってきています。

金指数も米ドルも、米株価指数も全て一カ所で扱える

DMM.com証券

という会社がいいと思いますが、金指数を扱っている会社は、探せば色々と出てきます。

日本が財政破綻するという事態が差し迫った時、おそらく、価格変動は一気に、かつ、ものすごく早いスピードで起こる事が予想されます。

また、戦前に照らし合わせると、割と早い段階で資本逃避を禁止、もしくは制限する法律が制定される可能性はあります。

なので、事前にコツコツ準備しておくか。

また、機動的に変える方法を用意しておく、こういうことが効いてくると思います。

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